Dr.コラム

2008年4月  コラム(1)

大頭 信義

 はかなくて 過ぎにしかたを 数ふれば
花に物思ふ 春ぞ経にける 式子内親王 (新古今集)

 桜と対面して、古人は夢のように過ぎ去った年月を顧みるといったゆとりがあったのでしょうか。
 そのような「春」をいくつも経てきたと詠むのですから、社会的にも、個人的にも幾多の山河を越えてきたという想いが詰め込まれているのでしょうか。  女流作家ですから、華やかな人間関係が中心だったのでしょうか。

 胸を揺さぶる感動といえば、ついスポーツへと関心は向かいます。
この春の感動は何と言っても、阪神タイガースの岩田 稔投手です。24才。入団3年目の初勝利です。
3月29日対横浜第2戦に好投、6回を6安打1失点に抑えました。
昨年7月、同じ横浜戦で5回終了まであと1人で勝ち投手の権利を獲得する直前の自滅・降板で悔しい思いをしたのでした。

その若きサウスポーの「開花宣言」です。

 そのどこが凄いって、彼は1型糖尿病の持ち主で、インスリンを1日4回自己注射しながらの投球だったことです。
 大阪桐蔭高2年の冬、風邪を引いた際のウイルス感染が元で1型糖尿病の発症となったようです。

 1試合で、ものすごいカロリーを消費するピッチングですから、その血糖コントロ-ルの困難さはどのようなものでしょうか。ベンチで、何度も血糖を測定しているのだろうか。 

 実は彼が高校2年生、休部しての闘病時代に、同じく1型糖尿病であったが、1988, 89年の2年間、巨人ジャイアンツに在籍して21勝(14敗)をあげた  ビル・ガリクソンの著書を読んで発奮し、自己を支えることが出来たというのです。
 ガリクソンはその後、大リーグに復帰して好成績を続けて、1991年にデトロイト・タイガースで自己最高となる20勝(9敗)をあげて、アメリカン・リーグ最多勝利投手となっています。

 ご存知かと思いますが、岩田はその後、4月5日には対巨人戦に8回4安打1失点で2勝目をあげたのでした。 
うむ・・・ 俺も、2型糖尿病だ・・・・