Dr.コラム

2010年7月 コラム(11)
大頭 信義

 心沸き立つフランス・ドライブの旅 

◇ あちこち、走ってみましたが
 まだ意気の衰えぬうちに、と海外での車での旅を続けています。英国では、CotswoldsやScotlandを走ってみましたし、Irelandでは、Dublinから西の端まで走り、司馬遼太郎の言う「何もない島Aran島」へも行ってみました。この島はユーラシア大陸の西端であって、コロンブスが新大陸の発見へと出向いた船上で、その島影をいつまでも眺めて立ち尽くしていただろうと語られた、私なりに思い入れの深い地でした。ドイツでは、Romantishe  Strasseに1週間かけて、小さな村の教会も丹念に回ってみました。Andalucia(Spain), Portugal, Czech,  Austria の地方もそれぞれ1週間くらいをかけて、田舎道を丹念に駆け巡ったのでした。

◇ なんと言っても、フランスでのドライブ旅行
 しかし、なんと言っても、フランスの地方の町や村が最高ですね。私はParis のことはほとんど知りません。空港からすぐにレンタカーで走り出すことが多いからです。フランスの田舎は、なんと言っても土地が豊かですね。土壌が真っ黒で、農作物の育成に最適だと感じます。それと比べると、まあ、スペインの貧しい土地はどうだろう。赤茶けた岩のごろごろした風土は、情景としては心に郷愁を呼び起こしますが、人々の暮らしはしんどいだろうなあとすぐ気づきます。Irelandでも、一面みどりに覆われているが、農作物には適さぬ貧しい国土だと実感する。羊のための牧草地にしかならない。その点、フランスは豊かだ。ワインでなくても、どんな農作物も育つのだろうと思う。その豊かな地を、次々と現れてくる町や村を、駆け抜けていく爽快さは何物にも代え難い。

◇ 4つの地方への旅
 これまでに、4回のドライブ旅行を経験しました。最初は1999年にフランスの西北にあたるLoire 、 Normandie を走ったのでした。Orléans でレンタカーを借り、古城を巡り、St.Maloの34kmくらい南にあるDinanという小村にたどり着いたときのあの驚き。15世紀の木骨組みの町並みがそっくり残って居るのでした。全く予想していなかった。 そして翌朝、朝もやの中から現れた坂の下の小港のたたずまい。震える手でシャッターを押したのでした。
Mont Saint-Michel を走り抜けて宿泊したHonfleur は、セーヌ川口にある印象派の画家たちが愛した港町。モネが定宿としたという「白馬館」に泊まりました。なお「印象派」の名の由来となったモネの「印象、日の出Impression、Soleil levant」はこの港で描かれたという。そんな場にたどりついて、写真が撮れるとは・・・もう、汗が噴き出すなあ。このコースは、奇しくもJeanned’Arc が神のお告げを体験して、1429年にシャルル7世に拝謁したChinon城を途中に挟みながら、兵を賜る約束をして乗り込んでいった城Orléansから走りはじめ、無残にも火あぶりに処せられたRouen までのドライブでした。
 この旅の前後に、彼女に関する書をむさぼるように読みました。その後も、2003年のProvence、2006年の東部Alsace からChamonix、Mont Blanc への旅、そして2009年には、西のBordeaux からブドウ畑を抜けて、Saint Émilion やSarlat、 Conques を巡ったのでした。

◇ 多くは、小さな宿を利用
 旅の計画を1年かけてゆっくりと練りあげるのは無上の楽しみですね。いくつもの旅行案内やインターネットでの検索もやってみます。世界の隅々まで日本の若者が旅をし、その記録の情報発信をしているのに感動します。
宿はできれば、小さいのがいい。立派なレストランがないのがいい。どうしても町の食堂へ出向くことになると、その地の郷土料理を食べることとなります。ドイツでは山盛りのジャガイモ料理、イギリスではオムレツが皿いっぱいに出てきますね。セーヌ川口のHonfleurでは、バケツいっぱいになるくらいのムール貝を食べましたね。 
 しかし、何日かに一回は古城ホテルのような豪華なホテルを利用した方が、同行のかみさんがいらいらせずに平和に過ごせるというのも事実ですね。

◇ フランスでは、メニューの選択が出来ない
 どこで食事するにも、まず座席を回ってみて、「あのおやじさんの食べてる、あれあれ」と、ジェスチャーで注文します。でも、フランス料理の場合にはそれが出来ない。ちらりと眺めただけでは、それが肉なのか魚なのか見抜けないからです。それで、メニューをみても何もわからないままに注文してしまう。こんな次第で、いつも旅の途中からは、フランス料理店は避けて、村のイタリア料理店を探すこととなります。スパゲッティは、何が乗っていても食べられますよね。ピザも大丈夫だ。

◇ まだまだ、走れるかな
 私にとっては、ライフワークの在宅ホスピスケアとともに、このドライブの旅が無上の楽しみです。これを考えながら1年をにやにや過ごしているのかな。現地の言葉がわからなくても、だいたいの風習がわかれば、困ったことは起きない。ドライブのためのマップは、現地で入手する。当初はミシュランの地図、それも超ローカルな地方のマップを日本で手に入れるのに、苦労していました。でも何のことはない、現地で走り出してサービスエリアの売店に入れば、どこでも現地のものが手に入りますね。
こんなことを考えながら、今年は北イタリア・ドロミテ地方をGWに走って来ます。雪のアルプスの麓をうろうろすることとなりそうです。朝から晩までデジカメの出番です。

(姫路日仏協会 発行誌に投稿)