Dr.コラム

2011年4月 コラム(14)
理事長 大頭 信義

被災の方々に 息の長い支援を

◇ 未曾有の災害
 多くの日本人が、3月11日のTVの画面を一生に渡って忘れることができないでしょう。4月を迎えても、苦難の中に埋没したかのような被災地の方々の姿があります。M9.0という超世界規模の東北の激震は、その後におそった大津波によって、岩手から福島にかけての港町や大小の都会をも未曾有の災害の日々へと突き落としました。

◇ 現地の医療や福祉は、いま
 多くの医療機関が破壊され、救急医療は相当に大きな規模の拠点病院に頼っていて、大学病院のような大規模の病院でさえ、がんに対する手術も延期を余儀なくされているという情報を聞きます。避難所では、やっと暖房の灯油が配置され、温かい食事も時に口にできるようになったようですが、まだ電気・上下水道といったインフラの復旧が実現せず、呼吸器感染やウイルス性の消化器症状の急増が目立つようです。
 このような「医療崩壊」の現状に対し、DMATや全国各地から駆けつけた医療支援者や、昼夜泊まり込んで支えてきた地元の医療者も拠点病院への移動を選ぶしかない場合が話題になりました。
 また介護施設では、通常の定員を遙かに超える避難者を受け入れて必死になって入居者の生活を支えています。いずれの地においても、ガソリンの供給不足が、食料や医療品の供給をより逼迫させたのでした。

◇ 現場への支援は
 このような惨状に接して、東北への支援の呼びかけは全国に広まりました。阪神大震災では、空前の1,800億円に達する義援金が寄せられましたが、3月末での日本赤十字社による集計ではその3倍を超えるペースとのことでした(朝日新聞4月3日社説)。
 日本ホスピス在宅ケア研究会の会員の皆さんもいろいろな形で、義援金やカンパに応じ、また中には何らかのチームの一員として現地まで出かけて、直接に支援の手をさしのべた方もおられましょう。

◇ 人工肛門パウチその他の送付
 研究会からは災害発生後にすぐ、黒田副理事長が現地に入り現状をみてきて、人工肛門のパウチ、その他の医療支援物資の送付を皆さんに提案しました。早速に、20近い医療機関がこれに応えて物資を本部まで届けてくれました。
 人工肛門の方は、普段ならトイレや風呂場を自由に30分以上かけて占有してケアできるでしょうが、避難所その他の水がない、場所がないという環境でどんなに難儀をされていることでしょう。新しいパウチの供給は、ことのほか喜ばれたとのことです。

◇ 息の長い支援が必要に
 まだ、行方不明者が1万数千という現状です。身近な家族をなくし、自宅や職場を喪失した方々への支援は、今後息の長いものとなることは必然です。
 会員の皆さんには、今後も現地への支援物資の送付や、時には人的な支援を呼びかけさせて頂きたいと思います。その折には、どうかよろしくご協力をお願い申し上げます。

◇ 「疎開支援」へも、積極的に参加を
 市町村の行政が一時は機能を失っていたかのようでした。しかしその中にあっても、各市町の首長さんはじめ、職員の方々の献身的な働きぶりには目を見張らせるものがありました。そして、その被害の甚大さのために、また避難所での生活が苦渋に満ちすぎているために、さらに放射能汚染から逃げるようにして、集団避難「疎開」が始まっています。仮設住宅の建設までは辛抱、と自分を納得させている方もいるでしょう。
 個人的な縁故を頼って、東京からも西日本への移住が始まりました。神戸での経験を生かす兵庫県だけでなく、各地で受け入れの体制ができつつあります。
 その方々に対して、医療者やケアマネージャーといったチームが連携して支援の体制を準備したいものです。施設に出向いて、また在宅でのケアに参加して日頃の力を発揮いたしましょう。

(2011.4.3 )