機関誌「花みずき」

血圧のおはなし

クリニック看護師 角田

 高血圧状態が続くことで、血管の壁に強い圧力が常にかかっているため、血管の壁が障害され、壁が厚く硬くなり動脈硬化を起こします。その結果、血管は弾力性を失い、血管内部はますます狭くなり、血圧はさらに上昇する悪循環を起こすことになります。 高血圧の影響はまず、血管壁が弱い血管に現れ、具体的には、脳や眼(網膜)、腎臓など細い血管が多い臓器ほど早く障害されます。さらに、高血圧が長期間続くことで、脳の血管が障害されると脳出血や脳梗塞になり、心臓の冠動脈(心臓に栄養を送る動脈)が障害されると、狭心症や心筋梗塞になります。また、高血圧に糖尿病、脂質異常症、肥満などの生活習慣病が合併すると、ますます動脈硬化はひどくなり、生命を脅かしたり身体に障害を残すような、重い病気の危険度が増えてしまいます。

高血圧治療の基本は、生活習慣の改善です。そして、合併症が起きる前に早く発見し、進行を抑えることです。
・食事は減塩を心がけましょう。
塩分に含まれるナトリウムを摂り過ぎると、体がナトリウム濃度を薄めようとして多量の水を取り込みます。すると、体液の量が増え、心臓の負担が増し、血圧が上がります。1日1gの減塩で収縮期血圧が約1mmHg低下すると言われています。 ・脂質の多い動物性脂肪は、動脈硬化を促進してしまうので過剰摂取は控えましょう。
・血管の弾力性を保つためには良質のタンパク質の摂取が大切です。
・運動は血管を広げて血行を良くし血圧を下げます。激しいスポーツを始めるのではなく、ウォーキングなど毎日気軽にできる運動から始めましょう。
・精神的ストレスは、血管を収縮して血圧を上げますが、ストレスを全て取り除くことは不可能ですから、趣味など気分転換の時間をもちましょう。
・寝不足は高血圧の原因の一つです。睡眠は十分にとりましょう。
・アルコールは少量なら血圧を下げますが、飲み過ぎると血圧が上がり心臓の負担も増えてしまいます。
・喫煙は血管を収縮させたり血管壁を傷つけ、動脈硬化の進行を早めてしまうので、合併症の危険がより高くなります。

 生活習慣を見直し、それでも目標血圧まで下がらないときは、降圧薬が開始となりますが、降圧薬を服用しても、一度高血圧になった人は、もともと血圧が高くなりやすい体質なので、生活習慣の改善は、続けておられた方が良いでしょう。


 血圧は様々な要因で変動し、測るたびに値が違うことがよくあると思います。1日の内でも、血圧は大きく変動します。特に血圧を大きく変動させる要因の一つに排便があります。排便時、いきむと血圧は上がり、いきみ続けると血圧は下がります。また、今の時期血圧を上げる要因として、寒暖差があります。夜間のトイレや風呂場の脱衣所では、寒さのために血圧が急上昇します。熱いお湯や長時間の入浴は避け、脱衣所は暖めておきましょう。
 このように血圧は常に変動しますので、測定値に一喜一憂することなく、家庭血圧の測定を続け、食事や運動、普段から少し生活習慣を少し見直したりしながら、内服治療も忘れず続けましょう。血圧の変化を見逃さず、合併症を予防・管理するために、定期的に胸部レントゲン検査、心電図検査、動脈硬化を調べる検査(PWV検査)、血液や尿検査を行ない早期発見に繋げていきましょう。
 気になることは、いつでも医師・看護師に相談してください。

引用文献:第一三共株式会社パンフレット 「セルフ・コントロール高血圧」より