機関誌「花みずき」

糖尿病のおはなし

クリニック看護師  溝口 久仁子

 日本における糖尿病の患者数を厚生労働省が実施した「平成24年国民健康・栄養調査」の結果では、糖尿病予備軍も含めた患者総数は2,050万人と推定されます。20歳以上の成人では5人に1人が糖尿病の可能性があることになります。我が国では糖尿病患者さんの95%が2型糖尿病で、まさに国民病とさえ言われています。
 糖尿病は正しい治療を続ければ決して悲観するような病気ではありません。そのためには糖尿病を正しく理解し、早期発見・早期治療が大切です。

Ⅰ.糖尿病とはどのような病気でしょうか。
 糖質は、膵臓から作られるインスリンというホルモンにより筋肉や肝臓、脂肪等に取り込まれエネルギーとなります。食べ過ぎや運動不足に加えインスリンの働きが足りないと、血液中のブドウ糖がうまく細胞に取り込まれず血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が異常に高くなります。この状態が長く続くと糖尿病になります。糖尿病の主要な病型は1型・2型・その他の型に分類されます。

◎今回、ここでは2型糖尿病について述べてみたいと思います。
 2型糖尿病は徐々に発症し、本人が自覚することが少なく、健康診断で発見されることが多くあります。40歳以上で肥満の既往歴がある場合、インスリン分泌低下にインスリン抵抗性が加わって起こることが多くあります。また、血縁者に糖尿病の人がいるなど糖尿病は遺伝すると言われていますが、糖尿病そのものが遺伝するのではなく“糖尿病へのなりやすさ”が遺伝するのです。これを遺伝的要因と言います。
 もともと日本人は糖尿病になりやすい体質の人が多いと言われています。かつての日本人は和食中心の食生活でした。日常生活でもよく歩き、身体を動かしていたため糖尿病の方は多くありませんでした。しかし、現代社会では①食生活が欧米化し、油や甘いもの、アルコール摂取量の増加②交通機関の発達やIT化等による運動不足や運動量の減少③精神的ストレス④肥満者の増加と人口の高齢化(年齢が高いほど発症しやすい)等で糖尿病の人が増えました。これを環境的要因と言います。
 過食・運動不足・ストレスのたまる職場・人間関係など、まさにその人が持つ「習慣」そのものが糖尿病の発症因子なのです。


Ⅱ.糖尿病の症状
  2型糖尿病はとても症状の少ない病気です。自覚症状としては、次のような症状があります。

糖尿病

 インスリンが不足すると糖が利用しにくくなり、栄養不足となり痩せてきます。空腹感も強くなります。また、血糖値が上がると尿に糖がでます。これを「尿糖」と言います。尿糖は身体から水を引き、尿をたくさん作る働きがあります。そのために尿がたくさん出て、脱水症状となり、のどが渇くのです。しかし、糖尿病を放置してこれらの症状に慣れてしまうと次第に症状として感じなくなってしまいます。他の風邪や腹痛、下痢等ではすぐに受診されますが、のどが渇くぐらいではなかなか病院には行かないものです。糖尿病の症状で外来受診をされた方は糖尿病患者さんの全体の約3割程度です。あとは健康診断や合併症が重篤になり発見される場合が多々あります。