機関誌「花みずき」

糖尿病のおはなし


Ⅲ.糖尿病に大切な定期検査
 糖尿病は自覚症状が乏しいため定期的に検査をすることにより、血糖のコントロールの状態や合併症が起きていないかを知ることができます。

糖尿病


Ⅳ.糖尿病は「沈黙の病気」、だから合併症が怖いのです。
三大合併症 糖尿病を放置しておくと、血管や神経が次第におかされ色々な症状が出てきます。これらを合併症といいます。自覚症状がないまま進行し、症状がでてきた時にはすでに手遅れとなってしまうことが多いのです。
 主に糖尿病の三大合併症には、①糖尿病性網膜症②糖尿病性腎症③糖尿病性神経障害や、他にも心筋梗塞・脳梗塞・白内障・感染症・皮膚炎・壊疽など多くの病状が関係しています。これらの合併症を防ぐためには,血糖値を良好に保つことが第一です。血圧やコレステロ-ル値・中性脂肪値などもコントロールし自己管理することで、よい状態にしましょう。


Ⅴ.糖尿病三大合併症
1)糖尿病性網膜症

 眼の底には網膜という、光を感じる神経細胞が並んでいます。
カメラにたとえるとフイルムにあたるのが網膜です。高血糖が長く続くと、この網膜に栄養を与えている小さな血管が詰まりやすくなります。また血管の壁がもろくなるため血管内から血液成分がもれやすく、最初は小さな出血が見られますが、この時点ではあまり自覚症状はありません。この段階を放置すると血管がふさがり網膜が酸素不足状態となります。酸素不足を補うために新しい血管をコツコツと作るのですが、この血管は大変もろく簡単に破れ大量の出血を起こします。やがて網膜剥離や出血性緑内障などを続発しながら失明にいたります。「雑誌や新聞、テレビもよく見えるから大丈夫」と安心されていると思いますが、よく見えていても出血がひどくなっている場合もあります。

糖尿病性網膜症

◆ 糖尿病の状態により定期的に眼底検査を受けましょう。
◎忘れないためにも1年に1回は自分の誕生月に眼科受診、と決めておくのもいいでしょう。その際「糖尿病治療を受けているので眼の定期検診に来ました」と糖尿病手帳を持参すると、受診もスムーズになりますよ。

2) 糖尿病性腎症
 腎臓の主な働きは血液の中の不要なものを尿中に排泄し、血液を綺麗にすることです。その働きは腎臓内部に約200万個存在する細い血管の集合体であり、糸球体と呼ばれています。
高血糖で糸球体内の細かい血管が障害され糖尿病性腎症が起こると、血液をきれいにする働きが低下します。低下が進行すると血液中に不純物が溜ると尿が作れなくなり、生命の危険があります。そのような時には人工透析が必要となります。血液中の不要な成分を透析機器でろ過しなければなりません。週に2~3回の通院が必要になり日常生活に負担がかかります。
現在人工透析治療が必要となる原因の第1位は、糖尿病性腎症です。
◆ 早期の段階では自覚症状はほとんどありません。定期的に内科受診で血糖値と血圧のコントロールに気をつけ、食生活ではたんぱく質を取りすぎないようにし、病気の進行を防ぐことが重要です。

3) 糖尿病性神経障害
 神経障害 糖尿病性神経障害は高血糖により神経が障害されることで起こります。人の神経は脳を中心とする中枢神経と身体の隅々をつなぐ末梢神経からできています。これらの神経は全身に張り巡らされ、いわば発電所の送電線のようなものです。末梢神経には知覚神経・運動神経・自律神経があります。
◆ 知覚神経が障害されると手足の先から感覚が鈍くなり、しびれや痛みを感じるなど、外界の刺激を脳に伝えます。
◆ 自律神経が障害されると立ちくらみ・便秘・下痢・胃もたれ・インポテンツ・排尿障害などの症状が出てきます。運動神経が障害されると脳からの命令で身体を動かす機能が低下します。

* 中でも末梢神経障害による足病変があげられます。足に水虫や傷がないか、観察してください。化膿するとなかなか治癒せず悪化の一途を辿り、足の切断に至る場合もあります。世界では30秒に1本の足が糖尿病のために切断されていると言われています。
合併症に気づかず重症化した結果です。足を毎日観察することにより足病変を予防することが可能なのです。
来院される糖尿病の方に足の観察をさせていただいていますが、「汚い足やから」となかなか見せることに抵抗があるようです。
ご自分の足に関心が持てない方も多々いらっしゃいます。人に足を見せることは恥ずかしいものですが、きれいな足になると自分の身体に自信が持てます。
爪切り時や入浴時に、しっかりと足の観察をしてみることが大切です。習慣づけましょう。


《私の看護経験から一言》
 糖尿病性神経障害による足切断患者の看護を多くしてまいりましたが、どなたも「足がなくなった、糖尿病を甘くみていた、後悔している」との言葉が聞かれ、本当に悲しい思いをした経験があります。
*糖尿病性神経症状も早期発見・早期治療を行えば、QOL(生活の質)や合併症の予後は改善します。
*血糖値をしっかりとコントロールをすることや、いくつかの薬剤で症状が改善することも期待できます。
*糖尿病の方で動脈硬化が進行すると足には閉塞性動脈硬化症が進行し、血管が硬くなります。先の「花みずき」で紹介したように、当院では動脈硬化検査・動脈内皮機能検査を簡単に受けることができます。足先が冷たい、しびれる等の症状がある方は、一度検査を受けましょう。