機関誌「花みずき」

睡眠 曼茶羅

院長 大頭 信義

睡眠不足は、先進国の流行病
 現代人は、睡眠不足が共通のパターンとなっている。特に日本人は、「睡眠不足症候群」の人が相当の割合で存在するようだ。
国際機関の調査では、 
 フランスの平均睡眠時間     8.7 時間
 アメリカ     〃      7.5 時間
 日本       〃      6.5 時間
というのがある。しかも日本人には、睡眠6時間未満の人が、約40%もいると言われている。さらにインターネットで2016年に行った調査では、100国中、日本の睡眠時間は、最下位にランクされた。
日本の首都圏では、通勤電車で眠るという現象は有名である。別の調査では、6時間未満しか寝ていない日本人も、実は「7.2時間くらい寝たい」と感じているらしい。

眠らないとどうなるか
 アメリカで1965年、「男子高校生がギネスの不眠記録に挑戦」という試みがあったようだ。この調査を主導した教授たちは、高校生の眠気が強まるとゆさぶったり、話しかけたり、しまいにはバスケットボールをさせたりと様々な「眠らない工夫」を試みたようだ。
結果として、1秒足らずから10秒ぐらいの超短時間のマイクロスリープ(瞬間的居眠り)はあったが、男子高校生はなんと11日間も眠らなかったという。 そのチャレンジの後半になるほど、高校生はろれつが回りにくくなり、言い間違えも増え、些細なことにイライラした。幻聴や被害妄想も出てくる。単純な足し算も間違えていたという。眠りそうになったら水をかけたり、痛めつけたりする「断眠」は古くからある。
ナチスドイツや文化大革命時代の中国でもおこなわれ、拷問を受けた人は、幻聴や妄想が出て、精神に異常をきたしたという記録はいくらでもあるらしい。

眠りの借金が寿命を縮める、長いのも良くない
 睡眠不足は、脳にも体にもダメージを与える。2002年のサンディエゴ大学の研究では、米国がん協会の協力を得て実施した100万人規模の調査では、アメリカ人の平均睡眠時間は7.5時間だった。
6年後、同じ100万人を追跡調査したところ、死亡率が一番低かったのは、平均値に近い7時間眠っている人たちだった。それより短時間睡眠の人も、逆に長時間睡眠の人も、6年後の死亡率が1.3倍高いという結果が出ている。

良眠を得るための工夫
①温度の調節がまず重要だろう。将来のエアコン装置には、学習頭脳が組み込まれていて、室温と睡眠の関係を学習し、好ましい温度と湿度の設定ができるようになるだろう。さらに自分自身の自然な眠りや休養の変動(概日リズム)を装置に学習させ、自動で室温、湿度を調節できるようになる。これで、家族全員の寝付きがよくなり、トータルの睡眠時間が長くなるだろう。
②もう一つ、部屋の照明にも画期的な改革の時期が来るだろう。LED電球の改善が進んで、睡眠・覚醒効果に優れた照明装置の登場が待たれる。
③本、テレビ、講演などを通じて、「睡眠」改良への施策、工夫が提起され、検討されるようになるだろう。
今後が、楽しみですね。

< 参考文献 >
1.「スタンフォード式最高の睡眠」 西野 清治 (サンマーク出版)
2.「睡眠こそ最強の解決策である」 マシュー・ウオーカー、桜田 直美(訳) (SB Creative)