機関誌「花みずき」

腎臓が気になりはじめたら

クリニック看護師 原瀬

⑤慢性腎臓病(CKD)とは
 慢性腎臓病(CKD)とは、前ページのような病気など、様々な原因によって生じる、腎機能が慢性的に低下した状態のことです。早期治療によって腎機能の低下を防ぎ、透析の患者さんを減らすために、慢性腎臓病(CKD)という考えが取り入れられました。また、腎臓病が誘発する循環器系の病気を予防することも目的のひとつです。
CKDの診断基準
 糸球体ろ過値(GFR)が60ml/分/1.73㎡未満
尿検査、血液検査、画像診断、病理検査などで腎臓の障害が明らか(特にたんぱく尿)、このうち1つもしくは両方が3ケ月以上続いているとCKDと診断されます。


⑥慢性腎臓病(CKD)発症あるいは進行の危険因子
 高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は、慢性腎臓病(CKD)発症の可能性が高いと言われています。そのため、生活習慣病の原因となる肥満や運動不足、過度の飲酒、喫煙、ストレス、貧血にも注意が必要です。また、腎臓は年齢と共に機能低下するため、高齢者では慢性腎臓病(CKD)になる確率が増えます。腎不全を進行させないためには、たんぱく尿、血糖値および血圧のコントロールが重要です。また、腎不全による貧血が強い場合には腎性貧血が進行しやすく、体に必要なエリスロポエチンを注射する薬物療法も行います。最近、塩分の多い食事を摂ると、尿のたんぱくが増えることが分かってきました。塩分が血圧を上げることはよく知られていますが、実はたんぱく尿も増やしてしまうのです。

⑦腎臓の検査
 尿検査 たんぱく尿の有無。たんぱく尿があれば、何らかの障害が腎臓に起こっていることが分かります。さまざまなたんぱく質が尿に含まれていますが、全体40%近くを占めるのがアルブミン。血液にも含まれているたんぱく質です。尿検査には試験紙法または尿沈渣があり、たんぱく尿以外にも潜血や糖尿などさまざまな異常を発見できます。
*病気でなくてもたんぱく尿と診断されることがあります。病気が原因の場合は、早朝の尿だけでなく、いつも尿にたんぱく質が含まれています。激しい運動の後や、高熱が出ている場合などに一時的に出るものもあります。

血液検査 腎臓の働きがどの程度あるのかわかります。
・クレアチニン…筋肉に含まれているたんぱく質の老廃物。腎機能の低下で血中のクレアチニンが増加します。
・クレアチニンクリアランス…糸球体でろ過される血液量を調べる検査。1分間で何mlの血液がろ過されるか。年齢にも左右されます。
・尿素窒素…血液中に含まれている窒素量を調べる検査。尿素はたんぱく質の燃えかす、つまり老廃物です。これが血液中に増えているという事は、腎臓での排泄がうまくいっていないということです。
・GFR(糸球体ろ過値)…1分間に糸球体が血液をろ過する量。血清クレアチニン値と年齢と性別から計算できます。

⑧慢性腎臓病(CKD)に対する治療
 治療の目的は、慢性腎不全への進行を遅らせ、可能な限り阻止することです。第二の目的は、心血管疾患のリスクを減らし、発症を抑えることです。
・生活習慣の改善:肥満や喫煙などのリスクとなる生活習慣を改めます。
・食事指導:ステージに応じたたんぱく質や塩分の摂取制限が必要です。
・高血圧の治療:生活習慣の改善、減塩、降圧薬の服用などにより行います。
・尿たんぱく:尿中アルブミンを減少させる。必要な内服薬を使用します。
・脂質異常症の治療:心血管疾患の重大な危険因子。
・貧血に対する治療:貧血は末期腎不全への進行と心血管疾患の合併症のリスクにもなります。
・糖尿病の治療:血糖値のコントロールを行います。
・尿毒症毒素に対する治療:尿毒素物質を吸着して、便中に排泄する経口吸着薬を用います。
・慢性腎臓病(CKD)の原因に対する治療:原因が明らかな場合は、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制剤を使うことがあります。