機関誌「花みずき」

改めて「認知症」について考える

院長 大頭 信義

 自分がこの状態になるのも、家族がこの疾患で悩むのも、だれもが避けたいのが「認知症」でしょう。
 「認知症」は、まだ本格的な研究・取り組みが始まったばかりと言えそうですが、先天的に記憶、判断、その他の「認識機能」が低下しているのではなく、一度は脳機能が成長したのですが、時間の経過とともに、もう後戻りができないよう(不可逆的)に、低下した状態と考えられています。

 日本ではかつては痴呆(ちほう)と呼ばれていましたが、2004年に厚生労働省の用語検討会によって「認知症」への言い換えにまとめられました。
 ご存知の方も多いと思いますが、認知症にはいくつかの種類があります。主なものとしてはアルツハイマー型認知症、脳血管型認知症、レビー小体型認知症が挙げられます。
 このうち約60%余りはアルツハイマー型認知症が原因であるため、一般的認知症といえばアルツハイマー型認知症と考える方も多いようです。

[1] 認知症の種類
 以下の数字は、厚労省関係の発表によるもので、種類としては、アルツハイマー型が60%余り、脳血管性がほぼ20%、レビー小体型が5%弱、その他となっています(厚労省資料)。
 この3つの型の認知症は、ゆっくりと進行が継続し、残念ながら、現在の医学の力では、大きくはその進行速度を変更することが困難な場合が多いようです。
 つまり多くの認知症は、現段階では「治せない」のです。しかしながら、現在でも「治せる」認知症もあるのです。この分野のことをまず述べておきましょう。


[2] 治るタイプの認知症
(上の円グラフの「その他」に含まれる部分)
①正常圧水頭症
 脳脊髄液が脳室に過剰に溜まり、その結果として、正常の脳を圧迫します。
②慢性硬膜下血腫
 頭をぶつけたりしたときに頭蓋骨と脳膜の間に血種ができ、それが脳を圧迫します。外傷の後、6か月くらいまでに症状が出てくることが多いようです。
 頭痛や顔の表情が急に歪んでくるなどの症状が出ます。私も診察室で、これまでに数人この疾患を疑って、専門医療機関へ紹介し、血腫が見つかったことがあります。頭蓋に穴をあけ、チューブを入れて血腫を吸引除去すると、劇的に回復します。
 その他、脳腫瘍、甲状腺機能低下症、栄養障害、薬物やアルコールに関連するものなども、しばしば報告されています。