機関誌「花みずき」

最期まで自分らしく生きるための選択
在宅療養を継続するための安心とは

訪問看護ステーションだいとう 看護師 原瀬

 訪問看護ステーションだいとうは、だいとうクリニックが母体となっている訪問看護ステーションです。当クリニックは、開院36年になります。 がん患者の看取りに関わることが多く、過去10年の在宅看取り件数は325件、その内がん患者は252件です。 訪問看護ステーションだいとうは、開設して10年になります。


 だいとうクリニックとの関係から、当ステーションはがんの利用者が多いステーションです。ステーション開設当初は、利用者が退院を余儀なくされるケースもあり、在宅療養が困難となった時、受け入れ先の病院が見つからない、またホスピス病棟を予約していても空きがなく、利用者・家族は不安な日々を送ることがありました。当ステーションがある姫路には、ホスピス病棟を持つ医療機関が1件でした。しかし2019年、近隣病院にホスピス入院や看取りの前段階、「駆け込み病棟」という位置づけで緩和ケア病棟が設立されました。ステーション開設当初と比較すると、現在は同病棟へ入院できる体制が積極的に整えられています。

 今回、姫路に新しくできた緩和ケア病棟に入院または予約、かかりつけ医と緩和ケア外来を併診していた利用者の記録や遺族アンケートを振り返り、集計を行いました。実際に過去3年間におけるステーションのがんの利用者の中で、緩和ケア面談を受けた人は66%でした。そこで、緩和ケア面談を受けた遺族に面談のきっかけや、緩和ケア病棟の利用状況、入院することでどのような変化があったかなどを知るためにアンケートを実施しました。

アンケート対象者
 2018年1月~2021年6月末にがんで在宅療養し、緩和ケア面談を受けた利用者32名。
選出方法
 上記期間中にかかわった利用者の中で、亡くなられた後も連絡がとれる遺族にアンケートを依頼しました。
アンケート回収率
 32名中、22名回答がありました。
倫理的配慮
 個人が特定できないように配慮しました。

 緩和ケアをなぜ面談しようと思いましたかというアンケートについて、ここでいう「緩和ケア」とは、姫路に新しくできた緩和ケア病棟を指します。病院で勧られたからという回答が一番多く得られました。

病院から緩和ケアの説明を受けたことで、利用者や家族は治療が終了になった時、今後の生活の場や将来について考えるきっかけになります。このことから病院がそのタイミングを作っていると考えます。
しかし、そのタイミングがないまま、治療を継続してきた利用者や自分の意志で治療や受診を中止された利用者が、自分たちで在宅医を探し、私たちと出会い、緩和ケア面談を勧めた例もあります。病院が緩和ケアへの面談を勧めることで、訪問看護側にとっても、困った時には入院できる場所があるという安心感があります。

 何かあれば入院できる場合やレスパイト入院(*レスパイトとは“休息”“息抜き”と言う意味。地域で在宅介護・医療を受けている方やご家族や介護者の休養を目的とした短期入院です)できる場合も多いことから、在宅療養するにあたって、症状出現の不安や必要な時に入院できるのかという利用者や家族の不安は多いことが分かります。実際に家で過ごしたいと思っていても症状をコントロールできない時や、家族の負担が大きくなった時には在宅療養の継続が困難になります。そんな時に入院できる場所があることは、利用者、家族、私たち在宅医療スタッフにとっても安心につながります。