だいとう循環器クリニック

花みずき


スウェーデンの老人ホームを訪ねて 

明石市北朝霧丘 草野さん


 今年5月27日から6月4日まで、初めてスウエーデンを訪れました。大学町ウプサラに6泊、主都ストックホルムに2泊の一人旅です。二人のスウェーデン人の友人のお かげで、大層恵まれた旅行でした。ウプサラ、ストックホルムの名所旧跡の観光はもと より、大学病院、産婦人科クリニック、保育所、老人ホーム、モンテッソリ主義の学校 などの施設を、あちこち車で案内してくれたのです。
 それぞれの場所で感心したこと、びっくりしたことなどありましたが、とりわけ印象の強かった老人ホームについて記してみたいと思います。

 ウプサラ郊外にあるその老人ホームは、友人のひとり、リスべットのお母さん(マルグレッタ、79歳)が生活しているのです。リスべットはホームまでの途中、車中でマ ルグレッタの様子を話してくれました。
 慢性関節リウマチで車椅子生活になってしまったこと、一緒に住みたいが、今住んで いるリスべットのアパートでは車椅子使用は不便が多く難しい。普段は穏やかな性格で、 親しくスタッフや他のお年寄りと接しているけれど、急にわけがわからず怒ってしまう ことがたまにある。孫やひ孫の訪問を―番楽しみにしている。以前は英語も話したのに 最近は聞いたことがない、スウェーデン語のみ。1ヶ月の支払いは日本円で約5万円。 これは年金額によって人によって違う…など。

 50人(全部個室)生活しているというホームに着くと、マルグレッタはホールで友達とお しゃべりを楽しんでいる様子でした。控え目にほほえむ笑顔が素敵、ブラウスの上のペンダント がとてもおしゃれ、というのが私の第一印象です。 「GRETTA」と表示されているドアを開けて中に入ると、思わず私は日本語で、「わあ!ひろい!」と歓声をあげてしまいました。居室は13、4畳くらいあるでしょうか、別に8畳ほどの、 車椅子で楽々入っていけるバスルームがついています。ホームというよりべッドを取り除いた ら、まるで日本のマンションの中のリビングを想わせました。

 家具は以前自宅で使用していた応接用の3点セット、食事用のテーブルと椅子。べッドの上 にはかって彼女が作ったという見事なまでのスウェーデン刺繍のバラが飾られてあります。 またショ―ケースには陶器の飾り物、飾り棚の上は整然と並べられた娘、ひ係の写真、 その中で亡くなったご主人と 一緒に写したウェディング姿の写真が、私の目をひときわ引きつけました。
 日本の老人ホームではあまり見かけないのでびっくりしたのは、居室に本が多いこと です。3段の本棚にぎっしり収まっていました。

 私は歌が好きというマルグレッタにお願いして、歌ってもらうことにしました。童謡を想 わせる歌を2曲。時々歌詞を忘れてリスべットの方を見て助けを求めながら、とても楽しそう に歌ってくれました。
 終始よい笑顔のあまりにかわいらしいおばあちゃまで、私はついお顔を撫でたりしたものですが、彼女の方も「小鳥さんのよう」などと言って私の顔に触れたりキスしてくれたり、私こそ幸せ一杯な気分でした。

 リスべットに「次の予定があるからまたね」と言われ、マルグレッタは涙顔になって しまいました。そんな彼女に私は全く後ろ髪を引かれる想いでしたが、来年あるいは再 来年また必ず来ましょうと、心に誓ったことです。そうそう、台所棚に小さなミルク入 れのコレクションが並べてあったけど、日本製のそれをお土産に持って参りましょう、 必ずね!

草野郁子さんは、加古川市の産婦人科にお勤めの保健婦さんであって、日本 ホスピス在宅ケア研究会の発足当初からの友です。
ウプサラの老人ホームのマルグレッタさんの暮らしを優しく綴って下さいました。 居室がとても広い、家具や蔵書が立派なことも教えて頂きました。
近い日に是非日本のお土産を届けてあげて頂きたいと私も思ったことでした。(大)

 

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