だいとう循環器クリニック

花みずき


痴呆症のケアをどうする
…グループホーム「花みずき」の経験より

院長 大頭 信義


◆ケアの方法が生活レベルを決定する
  高齢化の連行とともに、痴呆の症状で難渋する方と、ご家族が増えています。
一時的に痴呆症の進行を止めると期待されて発売されたアリセプトという薬剤も大きな役割を果たすこと なく経過しています。

 現在のところ、薬剤や医療で痴呆症に対応することはほとんど効果がないと言わざるを得ません。しかも近い将来では、あまり有効な治療法が登場しそうにないのが苦しい限りです。つまり、痴呆症に関しては、医療・治療は効果が薄く、「生活レベルを決めるのは、ケアの方法次第だ」ということになります。

◆良性のもの忘れと痴呆症
  加齢に伴って精神機能の減退が現れるのは自然と生理現象です。
人の名前が急に思い出せない、いわゆる「度忘れ」という現象は、40才を過ぎる頃からほとんどの人に現れてくるようです。その人の顔やどんな特徴の人かは連想して次々に思い浮かべることが出来るのになんとしても名前が出てこない。「ほら、あのいつも大声でしゃべるお城の近くに住んでいる男の人で……」などと話し続けても、周りは迷惑顔をするだけという事態がしょっちゅう起きます。

この「良性の老人性もの忘れ」の特徴としては
 1.日・時・場所がわからなくなることはない。
 2.自分で物忘れを認めて努力する。探し物は多い。
 3.作話は普通認められない。
 4.学習能力は保持されている。
 5.日常生活に明らかな障害はない。
 6.きわめて徐々にしか進行しない。

これに対して、「痴呆性のもの忘れ」には、つぎのような特徴があります。
 1.日・時・場所がわからなくなる。
 2.自分でもの忘れを認めようとしないことが多い。
   探そうとしないで、誰かが盗ったと言ったりする。
   (ただし、自分でももの忘れがひどくなったと自覚し、嘆く事態も多い)
 3.作話のみられることが多い。
 4.学習能力に著しい障害がある。
 5.日常生活に明らかな支障を来す。
 6.進行が速い。

痴呆の診断は
  医学的には痴呆症とは、「成長するに伴ってひとたび獲得した記憶力の減退が継続的に起こり、思考や判断にも障害を起して、通常の社会生活がうまくいかなくなった病的な状態」ということになります。つまり、記憶障害が中心的な病態で、日常の判断がうまくゆかなかったり、感情的に不安定になったりして、社会生活に支障がでるようになった状態です。
  その診断は、そう簡単ではありません。高血圧症や高脂血症のように、血圧を測ったり、血液を調べて「はい、その病気ですね」と言うわけには参りません。
  通常は、最近もの忘れがひどく難儀しているという訴えがあると、私たちのクリニックでは、「長谷川式簡易知能評価スケール」という簡単な記憶力テストをやってみます。このテストはナースと問答式にテストを進めて、その点数が30点満点の20点以下ならば痴呆症の疑いありということになって、姫路では、循環器病センターにある「高齢者脳機能検査室」や、その他の神経内科系の病院に紹介してMRIなどの画像診断も含めて診断してもらうことになります。
 この過程で、アルツハイマー病以外の脳血管性の痴呆症と区別がつき、また時には、正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫といった、痴呆症とよく似た症状を呈する頭蓋内の疾患や、代謝異常による類似の病状を呈した病気などが指摘され治療されていくことになります。

| INDEX | NEXT |
Top


だいとうクリニック